放射線科医が診断すべき日常診療で迷う症例
(第5章)中枢神経 迷う原因別3パターンの症例
國松 聡
1
,
住田 薫
,
桂 正樹
,
雨宮 史織
,
森 墾
,
高尾 英正
,
佐々木 弘喜
,
大友 邦
1東京大学 大学院医学系研究科放射線医学講座
キーワード:
クモ膜下出血
,
MRI
,
膠芽腫
,
鑑別診断
,
結核-髄膜
,
髄膜腫
,
胆嚢腫瘍
,
中枢神経系疾患
,
聴神経腫瘍
,
脳腫瘍
,
リンパ腫
,
神経Behcet症候群
,
頭部CT
Keyword:
Central Nervous System Diseases
,
Brain Neoplasms
,
Diagnosis, Differential
,
Gallbladder Neoplasms
,
Glioblastoma
,
Meningioma
,
Lymphoma
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Neuroma, Acoustic
,
Subarachnoid Hemorrhage
,
Tuberculosis, Meningeal
pp.s104-s117
発行日 2014年3月10日
Published Date 2014/3/10
DOI https://doi.org/10.15105/J00235.2014127014
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画像診断において迷う場面は多い.疑っている疾患の画像検査での検出感度がそもそも低い場合や,あるいはその疾患に対して適切な検査法が選ばれていない場合には,存在診断ですら迷ってしまう.また,画像所見に関して十分な報告がない疾患や,よく知られた疾患であっても非典型的な画像所見を示す場合には,困った末に描写診断に留まることも少なくない.一方で,画像に関する十分な報告があり,質の高い画像検査が行われていて,正解にたどりつく道筋はいくつかあったはずなのに,全く的外れな診断をしてしまうことがある.結果がわかってから,“しょんぼり”した経験は一度や二度ではない.これらの症例は教訓として積み重ね,次に同じような症例を目にしたときは,ぜひ正しく診断したいものである.
画像診断の過程において我々を迷わせる原因にはいくつかある.研修医との日頃のやりとりで気づいたことや,筆者自身の反省に基づく分け方ではあるが,本項では,1)臨床情報への過剰依存,2)画像所見の類似性,3)治療効果による修飾,という画像診断時に足元をすくわれかねない3つのパターンに関して,実際の症例を題材に述べることとする.
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