特集 診断を決める!婦人科画像診断のルールブック
序説
坪山 尚寛
1
1大阪大学大学院医学系研究科放射線医学講座
pp.1279-1279
発行日 2020年10月25日
Published Date 2020/10/25
DOI https://doi.org/10.15105/GZ.0000001950
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診断を“決める”―― 読影やカンファレンスで私が唯一心掛けていることです.診断を“当てる”ことが何より重要と信じていた(憧れていた)頃もありました.確かに画像診断の精度は向上しています.画像診断は当たって当然,という風潮さえ漂っているように感じます.しかし,それは幻想です.現実において画像診断は不完全なものであり,一定の割合で必ず間違えます.特に,腫瘍の画像診断は細胞レベルへの挑戦であり,画像で細胞がみえない以上,そもそも当たるわけがないのです(当たることは逆にすごいことなのです!).それでも臨床の現場で感じるのは,「ある程度間違えてもいいから,診断を決めて欲しい」という画像診断への期待です.診断を決めないことには治療方針が決まりません.放射線科医が間違いを恐れて明確な診断を避けた場合でも,診断を決める必要性は厳然として残り,その任務を主治医に丸投げしたにすぎません.もちろん,最終診断は様々な臨床情報を加味して主治医によって決定されるべきですが,画像診断に関する決定を放射線科医が担うか否かは,放射線科医の存在意義に関わる問題ではないでしょうか.放射線科医の仕事は診断を“当てる”ことではなく,むしろ完全には当たらないからこそ,“決める”ことだと思うのです.
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