連載 外来診療で役立つ 漢方の使い方・考え方 第1回
慢性疼痛に十全大補湯!
-「元気が出る漢方」は「最高の痛み止め」
加藤 果林
1
,
谷川 聖明
2,3
1京都大学医学部附属病院 医療安全管理部
2谷川醫院
3京都大学医学部附属病院
pp.1034-1037
発行日 2026年7月1日
Published Date 2026/7/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2026080025
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はじめに:鎮痛薬で解決しない「慢性疼痛」の正体
日常診療において,NSAIDs やアセトアミノフェン,神経障害性疼痛治療薬を駆使しても,なお「痛みが取れない」と訴える患者に苦慮することはないでしょうか.検査で明らかな器質的異常が見当たらない慢性疼痛は,かつては「心の持ちよう」や「機能性」として片づけられがちでした.
しかし,近年の神経科学の進歩により,慢性疼痛は単なる「神経の興奮」ではなく,中枢神経系におけるグリア細胞(ミクログリアやアストロサイト)が関与する「慢性的な炎症環境」(図1)が背景にあることが明らかになってきました1).この微小な炎症がシナプスの可塑的変化を引き起こし,痛みの回路を固定化させてしまうのです.
本稿では,これまで体力回復のための「補剤」として知られてきた

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