特集 とことん深めるライフストーリー 職業編
お仕事を聞いたらどこまで深める?
働くのがつらそうな人が来たら─ 産業医の立場から─
安藤 明美
1
1安藤労働衛生コンサルタント事務所
pp.1082-1084
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023090006
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はじめに
働きざかりの世代の人が,外来につらそうな様子で受診してきたとき,主治医として何 を考えるか? 内科的な疾病はないか,持病があっても状態が安定しており,プライベート では気分が落ち込むほどのトラブルや対人関係の問題はない.要因を総合的に考え1),職 場におけるストレス要因が最も大きく影響していると思われた場合に,主治医としてどの ような対応が望ましいか,産業医の立場から考える. まず,「仕事がつらい」と受診者が言った場合,仕事の何がつらいのかを確認する必要が ある.①業務量が多いのか,②取引先のペースに合わせた仕事など,自分のペースで仕事 をこなせないことがストレスなのか,③そもそもいまの仕事が自分に合っていないと考え ているのか,④ 昇進したプレッシャーなのか,⑤ 降格したのか,⑥ 職場の人間関係なの か,あるいはそれ以外の要因なのか.また,これらの要因が単一に存在するのではなく, いくつかが重なっていることもある2).「仕事の何がつらいと感じているのか」について詳 細を聴取したうえで,職場に産業医がいるか,過去にも同様なことがあったか,メンタル 不調で医療機関を受診したことがあるかなどを確認することも重要である.
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