薬語図鑑-基礎薬学用語を現場で使える知識に訳してみました 第2部 臨床現場で見聞きする用語編
代謝
10 HbA1c,グリコアルブミン,1,5-AG
-糖尿病関連の検査から患者の状態をどうアセスメントするのか?
彦坂 麻美
1
1成田記念病院薬局
pp.628-629
発行日 2023年3月31日
Published Date 2023/3/31
DOI https://doi.org/10.15104/ph.2023040068
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HbA1c
HbA1c とは糖化ヘモグロビンのことです.ヘモグロビンは赤血球内にあるタンパク質で,鉄を含み酸素と結合するヘムとポリペプチドであるグロビン部分から構成され,ヘムが酸素と結合することにより,赤血球は全身に酸素を運搬する役割を担っています.グロビン部分の違いによりHbA,HbA2,HbF に分けられ,HbA のβ鎖N 末端のバリンにグルコースが非酵素的に結合したのがHbA1c です.高血糖状態が続くと不可逆的に結合した安定型HbA1c の割合は高くなり,赤血球の寿命である約120 日間消滅しません.このことから,糖尿病診断や治療の評価に用いられ(表1),過去1 ~ 2 ヵ月の平均血糖値を反映するといわれています.出血や鉄欠乏性貧血の回復期,溶血性疾患や肝硬変などで低値となるため注意が必要です.
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