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目的
助産外来の財務(損益)の視点に着目し、損益分岐点分析の手法を用いて病院における助産外来の損益分岐点を明らかにし、採算がとれる助産外来の運営方法を検討する。
対象と方法
2014年5月から10月末日まで、助産外来開始後4年以上経過している病院を対象とし、対象施設の助産外来担当助産師を回答者とした。調査項目は、先行研究をもとに損益分岐点分析に必要な内容を独自に作成した。部門別独立採算制の観点から、助産外来専任または外来所属助産師などが主に助産外来を行っている8施設を対象に損益分岐点分析の手法を用いてシミュレーションを行った。本研究は、東京医療保健大学東が丘看護学部研究倫理・安全委員会の承認を得て行った(承認番号13-1-042)。
結果
損益分岐点分析の結果は、黒字群4施設(A・B・C・D)、赤字群4施設(E・F・G・H)であった。年間換算で、売上高は、黒字施設で21,840千〜8,928千円、赤字施設で2,588千〜1,440千円であった。利益は、黒字施設で14,852千〜3,683千円、赤字施設で−1,689〜−3,141千円であった。費用において、固定費の中の人件費は、黒字施設で4,608千〜2,596千円、赤字施設で4,865千〜1,224千円であった。
各施設の年間損益分岐点売上高は、A:3,896千円、B:5,559千円、C:5,799千円、D:5,117千円、E:5,661千円、F:4,712千円、G:3,321千円、H:22,227千円の結果を得た。
結論
費用の中で、固定費の占める割合が高く、その中でも一番高いのは人件費であった。従って、運営には人件費をいかにコントロールするかという視点が求められる。赤字施設では、黒字施設に比べ助産外来受診人数が少なく、売上高が低い結果であった。売上高を上げるためには、1回健診料金を上げるか、受診人数を増やす努力が必要である。損益分岐点売上高を算出することで、採算がとれる助産外来受診人数や健診料金を示すことができ、具体的な対策や方向性の示唆を得ることが可能となる。
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