Japanese
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研究報告
乳がん再発患者の生活の質(QOL)に関する研究—積極的に生活を整えている3名によって語られた内容から
The Quality of Life of the Patients having Breast Cancer Recurrence Contents of the Speech from Three Patients Building up Life Actively
大堀 洋子
1
,
佐藤 紀子
2
Youko Ohori
1
,
Noriko Sato
2
1東京女子医科大学病院看護部
2東京女子医科大学看護学部
1Tokyo Women's Medical University Hospital
2Department of Narsing, Tokyo Women's Medical University
pp.35-41
発行日 2003年7月15日
Published Date 2003/7/15
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要 旨
本研究は,乳がん再発治療を外来通院で受ける人々への看護を探求する目的で行った.研究方法は,半構成的面接法とし,質的帰納的分析法を用いた.その結果,骨転移や肺転移によって日常生活に支障をもたらす症状を抱えていると思われた3名が語った内容の中心的テーマは,「何も困ることは無く,普通に生活できている」であり,医療者が予測していた困難さは聞かれなかった.3名の語る『普通の生活』には,これまでの自分の生き方・考え方を振り返り,その時々の置かれた状況を自分の価値観で受けとめ,自分らしく生きるための選択や取引があった.そして,自分らしく生きたいと思う気持ちを支えることとして,《医師との信頼関係が築かれている》を中心に《すべてを知っている》《自分のことは自分で決める》《ストレスは貯めない》《役割を持っている》《気づかわれている》の6つのカテゴリーが見出された.これら6つのカテゴリーの1つひとつが『普通の生活』で在り続けるため,さらには主体的に生活を整えるうえで必要な事と考えられ,生活の質(QOL)に影響する要因と考えられた.
これらの結果から,医療者の役割は,人々の生き方・考え方の意味を理解し,その人がもつ生活調整力や自己決定を支援すること,さらに看護師の役割としては,人々に不安な気持ちやその時々の希望を表現することを促し,継続的なケアを保証することであった.
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