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Ⅰ.はじめに
がん治療の進歩によって,入院治療の期間は短縮し,外来で治療を受けながら社会の中で生活を送るがんサバイバーが増加している.しかし,治療と生活を両立していくには多くの課題がある.第3期がん対策推進基本計画では,「尊厳をもって安心して暮らせる社会の構築—がんになっても自分らしく生きることのできる地域共生社会を実現する」として目標が掲げられた1).
がん治療の中でもがん化学療法は多様な副作用を有するが,副作用に対するガイドラインの制定と新規薬剤の承認などによる支持療法の発達によって,身体に及ぼす苦痛は緩和できるようになってきた.一方,外見に現れる副作用は,医療の中では直接生命に関わらないことから軽視され,その副作用機序はもちろん,予防法や治療法も科学的に検証されてきたとはいえない2).
わが国での先行研究は,乳がん患者が体験する外見の変化とその対処3),壮年期男性の脱毛経験4),脱毛が日常生活に及ぼす影響5)があるが,外見に関する研究はまだ少ない.また,近年は分子標的治療薬の進展によって,その副作用は頭髪の脱毛だけでなく,全身の脱毛や皮膚の障害に及び,ボディイメージの変化などに影響を与える.人は社会の中で生きており,外見は自分と社会との接点になるものであり,がん患者がその人らしく生活を送るための環境整備や支援の充実がいっそう重要であると考える.
そこで,本研究では,がん化学療法を受けた患者の外見の変化に関するケアの構築に向けて,国外での研究の動向を把握するため,英語で報告された研究論文から,がん化学療法による外見の変化に関するアセスメント法,外見の変化とそれに伴う心理的・情緒的苦痛の実態を明らかにすることを目的に文献検討を行うこととする.
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