Japanese
English
【研究報告】
血液透析療法を受ける認知症高齢者に対する透析看護認定看護師の困難と工夫
Difficulty and ingenuity of dialysis nursing certified nurses in providing hemodialysis for elderly patients with dementia
磯 光江
1
,
森田 聖子
2
,
久米 真代
3
,
高山 成子
3
1石川県立看護大学
2元石川県立看護大学
3金城大学看護学部
キーワード:
認知症高齢者
,
血液透析
,
看護
,
質的研究
,
面接調査
Keyword:
認知症高齢者
,
血液透析
,
看護
,
質的研究
,
面接調査
pp.92-100
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003200080
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本研究の目的は,血液透析療法を受ける認知症高齢者に対し,透析室の看護師がどのようなことに困難を感じ,どのような対応をしているのかを明らかにすることである.研究方法は,透析看護認定看護師10名を対象に半構成的面接を行い質的帰納的に分析を行った.
面接の逐語録を分析した結果,5つの大カテゴリーが抽出され,以下のような透析看護師の経験が抽出された.透析看護師は,【後半に突然に起こる多様な行動から抜針に至る恐怖】と,【透析中の内部・外部環境の変化が与える影響の理解と調整の困難】から,【認知症ゆえに起こる透析中の困難の繰り返しとケアから逃れられない高ストレス】を感じていた.そして,看護師は,透析-透析間の【認知症ゆえに生じる(認知症高齢者の)生活管理の問題に対応しきれないことへの苦慮】が,透析中の看護を解決の糸口のない問題にさせているととらえていた.しかし,このような多くの困難のなかで,透析看護師は【透析中の認知症高齢者の立場に立った柔軟なかかわり】を必死で行っていた.5つの大カテゴリーにおいて,すべてのカテゴリーと関連が強く,最も頻繁にみられたのは,【後半に突然に起こる多様な行動から抜針に至る恐怖】であった.そこで,本研究では,このカテゴリーを中核カテゴリーと位置づけた.
これらの結果から,認知症による行動の意味を明らかにする研究の推進とともに,透析室の環境と人的配置に配慮した抜針予防対策の必要性が示された.
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