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【調査報告】
3.透析患者の自殺に遭遇した看護師の体験
Nurses experience of facing suicide of their hemodialysis patients with renal failure
岡山 ミサ子
1
1新生会第一病院看護部
pp.113-119
発行日 2012年11月15日
Published Date 2012/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100496
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Ⅰ.はじめに
わが国における自殺者は13年連続で年に3万人以上という異常事態が続いている.自殺の原因の第1位は健康問題があげられている1).腎不全で人工透析を受けている患者の自殺率が高いことは1970年代から指摘されてきた2).日本透析医学会統計調査の「わが国の慢性透析療法の現況」によると,2010年の透析患者の死亡者数は28,423人で,そのうち「自殺・拒否」は224人と全体の0.9%で,死因の順位は第10位を占めている3).筆者は長い透析看護経験のなかで,透析患者の自殺に直接的な遭遇体験があり,自死遺族に似た感情をいだきながらも20年以上も語ることができない状態であった.そこで,筆者と同様に透析患者の自殺に遭遇した体験のある看護師の状況を知りたいと考え調査した.
調査に先立ち,自殺に対する看護師の認識,態度に関する先行研究を検討したところ,救命救急センターに入院している自殺企図患者,自殺未遂者に対する看護師の認識や態度4,5),患者の自殺に直面した看護者の対処行動の分析6),患者の自殺・自殺企図に直面した精神科看護師のトラウマティック・ストレスとその関連要因7),入院中の患者の自殺に遭遇した看護師の体験と回復8)など,救命救急看護や精神科看護領域の文献が多くみられた.しかし,透析看護領域における看護師の態度や認識などを明らかにした研究は見当たらなかった.そこで本研究では,透析患者の自殺に遭遇した看護師の体験をエピソード記述から明らかにすることを研究目的とした.
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