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English
研究報告
身体的自覚症状のある通院中の糖尿病患者の日々の生活の中で経験する楽しみの有無によるQOLの相違
The difference in the evaluation of QOL between the diabetic outpatients with physical symptoms who have pleasure in their daily lives and those who do not
足立 久子
1
,
久松 香
2
,
飯沼 奈穗
2
Hisako Adachi
1
,
Kaori Hisamatsu
2
,
Naho Iinuma
2
1岐阜大学医学部看護学科
2岐阜赤十字病院
1Gifu University School of Medicine Nursing Course
2Japanese Red Cross Gifu Hospital
キーワード:
糖尿病患者
,
身体的自覚症状
,
QOL
,
楽しみ
Keyword:
糖尿病患者
,
身体的自覚症状
,
QOL
,
楽しみ
pp.175-181
発行日 2016年9月15日
Published Date 2016/9/15
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[目的]身体的自覚症状の有る通院中の糖尿病患者のQOLを高める支援の示唆を得るため,Lawton(2000)の喪失—利得均衡仮説に基づき,身体的自覚症状の有る患者の身体的自覚症状とQOLとの関係,日々の生活の中で経験する楽しみの有無によるQOLの相違,楽しみの有る患者における楽しみとQOLとの関係を検討することである.
[方法]研究の同意書に署名した105名の通院中の糖尿病患者に,日本語版WHO/QOL-26質問紙(1997)と聞き取り調査を行った.身体的自覚症状と楽しみの有無を尋ねた.
[結果]身体的自覚症状有りの患者56名(53.3%)を分析の対象とした.患者の平均年齢は62.6(±9.4)歳,平均罹患期間は11.3(±9.2)年,HbA1c(JDS)の平均値は7.3(±1.0)%であった.楽しみ有りの患者数は39名(69.6%),無しの患者数は17名(30.4%)であった.楽しみ有りと無しの患者におけるWHO/QOL-26に関して,楽しみ有りの患者は無しの患者よりも身体的,心理的,環境領域,QOL-26平均値は有意に高くなった(p<0.05,t検定).また,楽しみ有りの患者で,楽しみの程度と心理的領域,QOL-26平均値との間に有意な低い相関が有った(p<0.05).
[考察]通院中の糖尿病患者で身体的自覚症状の有る患者にとり,日々の生活の中で経験している楽しみは,乏しい健康状態から生じるダメージを軽減すると考えられる.QOLの維持あるいは向上のためには,身体的自覚症状による苦痛や不快感による日常生活動作の制限が有ったとしても,楽しみを失うことが無いよう継続できる支援が望まれる.
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