第2回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告 ●シンポジウム
糖尿病妊婦におけるインスリン療法―インスリン導入と看護のかかわり
三好 栄子
1
Eiko Miyoshi
1
1医療法人 甲斐・加治屋クリニック
1KAI・KAJIYA Clinic
pp.57-62
発行日 1998年3月15日
Published Date 1998/3/15
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はじめに
今回のシンポジウムで私たちに与えられたテーマは,“糖尿病教育への看護のかかわり”のなかで,妊娠期におけるインスリン導入患者へのアプローチを考え,問題提起をすることである.
糖尿病妊婦では,まず第一に健常児を得たいという希望が強く,糖尿病治療に対するモチベーションがきわめて高い.そして,インスリン依存型糖尿病は別として,インスリン使用期間が妊娠中だけと限られていることから,インスリン導入は比較的容易であると考えられている.しかし,そのなかにも,やはりインスリン導入困難例は存在する.インスリン導入の遅れは妊娠経過に悪影響を及ぼし,周産期予後を不良なものにしてしまうことが知られている.したがって,糖尿病妊婦への教育,指導・管理は非常に重要であり,かつ緊急を要する.そこで1994年以降,私たちが経験した糖尿病妊婦のインスリン導入120例のなかでみられた問題点の全容をまず紹介し,次に多くの問題点を抱えた2つの困難症例を紹介し,考察を加えたい.
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