文化に配慮した倫理的実践に関する事例検討

Case study on ethical practice considering culture

Ⅰ．はじめに

　日本看護倫理学会第2回学術集会に参加し、イスラーム文化の看護に関する発表を拝聴してイスラームの女性がケアを受ける立場についての意見を聴かせていただいた。そこで、私がかつて臨床においてイスラームの女性が出産する際、男性の前で肌を見せることがないよう配慮した経験を話した。演者より「そうした配慮をされたことがすばらしい」と支持していただき、自分の行った関わりに背中を押してもらえた気がした。

　ここに紹介する事例は、筆者が所属する助産学専攻科の必須科目に位置づけられている生殖生命倫理学の授業（1単位8コマ）で事例検討に活用しているものである。文化に配慮した実践について、本学会で検討が重ねられていくことを期待して、以下に、授業でとりあげた事例の倫理的課題と看護職者がとるべき対応について紹介する。