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東京2020パラリンピック競技大会は,当初の予定より1年間延期となり新型コロナウイルス感染症第5波の中,2021年8月24日〜9月5日に開催されました.新型コロナウイルス感染が拡大している中,多くの国民がオリンピック・パラリンピックの開催に疑問を抱いていたのも事実であり,また,無観客での開催ともなりましたが,161の国と地域から4,403選手が参加して熱い戦いが繰り広げられました.大会期間中はパラアスリートの活躍が毎日テレビで放送され,日本選手は過去2番目に多い金13個,銀15個,銅23個,計51個のメダルを獲得し,多くの国民がパラアスリートの活躍に感動と勇気を与えられたのではないでしょうか.
コロナ禍という大きな問題を抱えた中で開催された大会でしたが,このような素晴らしい大会となり無事終了できたのは,関係スタッフやボランティアなどの献身的な働きがあったことが大きいと思います.そして,この中にはリハビリテーション科医,理学療法士など大勢のリハビリテーション医療関係者も含まれています.私も新国立競技場(オリンピックスタジアム)で開催されたパラリンピック陸上競技の競技場医療スタッフとして参加しました.パラリンピック陸上競技場の医療体制は,競技場医務室の他,フィールド内に3カ所,選手退場路,ウォーミングアップ場に医療スタッフが配置されました.私は,フィールド内の医療スタッフとして参加し,担当したエリア(トラック第3コーナー付近)には,スポーツ医(主に国際救急対応ライセンスを取得した整形外科医)1名,障がい者スポーツ医(主にリハビリテーション科医)1名,理学療法士2名,アスリート・ケア・アシスタント(鍼灸師,柔道整復師,アスレチックトレーナーなど)2名の6名でチームを組み活動しました.他のフィールド内2カ所も同様の医療スタッフ構成で,ウォームアップ場,医務室にもリハビリテーション科医が必ず配置されていました.このようなリハビリテーション科医の各部署への配置は,パラアスリートに何かアクシデントがあった場合,通常の救急対応だけでは判断が難しい場合があり,障害者の病態を理解しているリハビリテーション科医による判断が必要との考えに基づいています.
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