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多様性(Diversity)の伝統的定義は,Diversity発祥の地である米国雇用機会均等委員会(EEOC)が規定するように「ジェンダー,人種,民族,年齢における違いのことをさす」という概念であった.時代の変遷とともに,その対象とする属性の次元を個人のもつあらゆる属性の次元へと拡大し,「組織における人材が均質(モノカルチャー)から,多様な人材が集まっている状態や,異なる人が混在している状態」を意味するようになってきた.多様性と包括性(Diversity and Inclusion)とは,多様な人材を組織に取り込み,パワーバランスを変え,組織改革を行うことで,組織のパフォーマンスを向上させることである.主にビジネスの世界で用いられている言葉であり,「組織の中に違いがあるからこそ,それが力になる.持続的発展のためにはDiversity and Inclusionは不可欠である」という考え方が米国の企業では共通認識になっている.日本の多くの企業においても認識され,取り入れられている概念になっている.
多様性(Diversity)には,4つのステージがあるといわれている.第1ステージは,「抵抗」であり,「違い」(多様性)に対する拒絶的反応を示す状態である.「違い」を拒否し,反発を回避する傾向をもち,現状維持の考え方が支配している.第2ステージは「同化」であり,「違い」を同化させ,あるいは個人の能力の「違い」を無視する防衛的反応を意味する.第3ステージは,「分離」であり,「違い」に価値を認め,「違い」は合理的であるとしてプラス効果を認め,「違い」を組織の活性化に積極的に生かす方向に考え始める段階である.第4ステージは「統合」であり,多様性と包括性(Diversity and Inclusion)の段階である.組織が「違い」に大きな価値を見いだし,「違い」を受容しマネジメントを受容することが組織に大きな利益をもたらすという信念のもとに組織全体が組み込まれている段階である.
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