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宮崎大学医学部附属病院リハビリテーション科では,ロコモティブシンドローム(ロコモ)に関連した研究を積極的に行っている.ロコモは「運動器の障害によって,移動機能が低下した状態」であり,ロコモの原因となる運動器障害の代表的な疾患として,変形性関節症,骨粗鬆症,変形性脊椎症,サルコペニアなどがある.日本整形外科学会では「立ち上がりテスト」,「2ステップテスト」と主観的評価法である「ロコモ25」の3つのテストをロコモ度テストとして推奨しており,その結果に基づいてロコモ度を判定することができる.2007年のロコモの提唱以来,非ロコモ,ロコモ度1(移動機能の低下が始まっている段階),ロコモ度2(移動機能の低下が進行し自立した生活ができなくなるリスクが高くなっている段階)の3段階評価として活用されていたが,多くのデータの蓄積や研究成果により,2020年9月には新たにロコモ度3(移動機能の低下が進行し社会参加に支障をきたしている段階)が設定され,リハビリテーション科や整形外科専門医の受診や治療の必要性がわかりやすく反映されるようになった.
われわれのロコモ研究には2つの基盤がある.1つは,2010年より当院が中心となって行っている運動器の機能向上をめざしたロコモ教室である.具体的には県内各地の総合型地域スポーツクラブを会場として,ロコモの啓発活動やメディカルチェックならびに週1回1時間程度のロコモ予防・改善教室を実施している(図1).これまで延べ1,500人以上の地域住民の参加が得られ,貴重なデータを集積することができており,その結果として地域住民のロコモ有病率を明らかとしたうえで,運動器疼痛や生活習慣病,健康に対する主観的評価がロコモと関連する因子であることなどを報告している1).
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