Japanese
English
教育講座
腱板断裂の治療とリハビリテーション
Treatment and Rehabilitation of Rotator Cuff Tears
井樋 栄二
1
Eiji Itoi
1
1東北大学大学院医学系研究科医科学専攻外科病態学講座整形外科学分野
キーワード:
腱板断裂
,
腱板修復術
,
反転型人工肩関節置換術
,
インピンジメント徴候
,
断裂拡大の危険因子
Keyword:
腱板断裂
,
腱板修復術
,
反転型人工肩関節置換術
,
インピンジメント徴候
,
断裂拡大の危険因子
pp.650-655
発行日 2019年8月16日
Published Date 2019/8/16
- 販売していません
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
肩関節疾患について
肩関節は人体の関節の中で最も動きが大きいとともに,最も脱臼しやすい関節でもある1).肩の外傷性脱臼,それに続発する反復性肩関節脱臼,また多方向に不安定性を呈する多方向不安定症(動揺性肩関節)など,不安定性を主訴とする疾患群が多い.一方で,江戸時代から五十肩と呼ばれる肩の痛みと可動域制限が知られており,放置しておいても自然によくなると考えられてきた.この俗称に相当する疾患の病態がはっきりしないため,病名としても五十肩を使うことになった(三木威勇治〔東北大学整形外科初代教授〕:宿題報告).近年では,これまで五十肩と呼ばれてきた中高年の肩の痛みの大半は腱板断裂によって引き起こされるということがわかってきた2, 3).その他に病態が明確な石灰性腱炎,上腕二頭筋長頭腱炎などを除外したあとに残るものが真の意味での五十肩ということになる.ところが,広く使われる俗称も診断名もどちらも五十肩という用語が使われるため,混乱が生じてきた.そこで俗称の五十肩はそのままにし,診断名には五十肩を使わず,国際的に使われているfrozen shoulderの和訳である凍結肩が用いられるようになってきた4-6).この章では,肩痛の原因として最も頻度の高い腱板断裂について述べる.
Copyright © 2019, The Japanese Association of Rehabilitation Medicine. All rights reserved.