第44回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/神戸 《シンポジウム》骨関節疾患リハビリテーションの実学(運動器の10年)-変形性膝関節症のリハビリテーション実学-―座長/上尾 豊二・浅山 滉
変形性膝関節症の治療適応の選択の考え方-ADLとQOLへの影響を踏まえて-
池田 浩
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1順天堂大学医学部整形外科
pp.89-94
発行日 2008年2月18日
Published Date 2008/2/18
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はじめに
わが国は急速に高齢化社会へと向かっており,10数年後には4人に1人が老人(65歳以上)になると予測されている.高齢化に比例して,加齢に伴う骨関節疾患も増加し,中・高年者のADLやQOLを低下させる1つの大きな要因となっている.その主たるものが変形性関節症およびその類似疾患であり,最も多いのが変形性膝関節症(膝OA)で,患者数は1000万人以上と推測されている.
膝OAの治療は,1)非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)などの薬物療法,2)温熱,電気などの物理療法,3)筋力訓練などの運動療法1~14),4)足底板15,16)などの装具療法からなる保存的治療と,関節鏡視下手術17~20)骨切り術や人工関節置換術などの外科的治療とに大別される.しかし,外科的治療が必要となるケースはごく一部であり,大部分は保存的治療の対象となる.主症状である疼痛のコントロールにはNSAIDが用いられることが多いが,対象の多くは高齢者でありNSAIDでは副作用が懸念され,より安全な治療法が望まれる.一方,運動療法は,home exerciseとして一人で安全に行えるほか,医療費を含め経済的など多くのメリットが挙げられる.
今回,ADLやQOLへの影響を踏まえた膝OAの治療法選択に対する考え方について解説する.
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