レポート「現場最前線」
重症新型コロナウイルス(COVID-19)患者に対する人工呼吸器離脱後の嚥下・言語評価および訓練について
三島 章裕
1
,
松本 英大
1
,
鶴川 真弓
2
,
垣添 慎二
1
,
三雲 大功
3
1地方独立行政法人 北九州市立病院機構 北九州市立医療センターリハビリテーション技術課
2地方独立行政法人 北九州市立病院機構 北九州市立医療センター看護部
3地方独立行政法人 北九州市立病院機構 北九州市立医療センター総合診療科・感染症内科
pp.210-214
発行日 2022年9月15日
Published Date 2022/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.6001200388
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Ⅰ.はじめに
新型コロナウイルス(以下,COVID-19)は,SARS-CoV-2感染に起因する疾患である.SARS-CoV-2は変異を繰り返し,アルファ変異ウイルスでは,従来のウイルスよりも感染力が30%程度高く1),国内でも重症患者の急激な増加につながった.第二種感染症指定医療機関である当院でも,アルファ変異ウイルス感染による入院患者が増加するとともに,人工呼吸器管理の必要な重症患者が増加した.Frajkovaら2)は,そのレビュー論文の中で48時間以上の人工呼吸器管理を必要としたCOVID-19重症患者は人工呼吸器離脱後に嚥下障害を有することが多く,誤嚥のリスクも高いと推定している.COVID-19は主として飛沫・接触によって伝播するとされ,エアロゾル発生手技に相当する嚥下訓練は感染リスクが非常に高くなる3).しかし,呼吸器管理を必要としたCOVID-19患者は嚥下障害を有することが多いため,嚥下訓練は重要になってくるが,介入者の感染リスクの観点より,言語聴覚士(以下,ST)がPCR検査陽性時からの積極的な介入は見送られることも多く,STが介入した報告は少ない.
今回,感染対策を十分に施したうえで,重症COVID-19患者に対して人工呼吸器離脱後の嚥下・言語評価および訓練を経験したのでここに報告する.この報告は,地方独立行政法人北九州市立病院機構治験・臨床研究審査委員会の承認を得ている(文書番号第202112004号).
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