Book Review
不如意の身体—病障害とある社会
田島 明子
1
1聖隷クリストファー大学リハビリテーション学部作業療法学科
pp.145
発行日 2019年5月15日
Published Date 2019/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003201064
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本書は,すでに書かれたものの再録やそれらの大幅な加筆で成り立っており,評者の田島の編著である『「存在を肯定する」作業療法へのまなざし—なぜ「作業は人を元気にする!」のか』(三輪書店,2014)(以下,作業療法へのまなざし)の第2章の文章が,本書の第12章に収められている。
著者の立岩真也氏は,ともすると置き去りにされがちな障害や病をしっかりとすくい取ったうえで壮大な社会理論の構想をしていることで知られる著名な社会学者であるが,立岩氏の社会に対しての問いの視点は一貫している。それは,「この社会における所有に関する規則とそれに関わって生じる財の配置と能産的であることで人は価値を有するという価値」(p98)である。そして,それについては,ポストモダンと呼ばれる懐疑的思想の流行っている現代においても,あまり変化はしておらず,そうした意味において社会はあまり変わっていないと言う(p97)。
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