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はじめに
住民が地域包括支援課の窓口に相談に来られる。その内容は例えば認知症の相談と合わせて同居している障害をもつ家族のことにも及ぶ。このように相談内容が複合的で支援対象者も高齢者だけではない場合どこが丸ごと受け止め適切に対応するのか。
相談を受けて自宅を訪ねてみると住居は荒廃しごみ屋敷状態になっていたり,例えケアマネ等の支援者がついていてもどうしようもない生活困窮を抱えていたり,支援者業務の範疇を超え受け止めきれない。また,そこに高齢者だけでなく子供世代も一緒に住んでいるということもある。ではどうするか。
まずは「丸ごと」受け止めるところが必要であった。それには「丸ごと」受け止める体制作りが必要となった。
地域包括ケアシステムは,住み慣れた所で自分らしくいきいきと暮らし続けるために必要とされる体制である。それは高齢者だけに向けたものではなく,認知症の人にも社会的孤立や複合的な課題を抱える世帯,地域へも対応されることが望まれる。そして,地域包括ケアシステムはさらに自立支援・重度化防止に向けた取り組み「地域共生社会」の実現に向けた取り組みを進め深化・推進へと向かっている。
認知症地域支援推進員は,認知症施策の新オレンジプランに基づき,認知症の人の意思を尊重し認知症の人を単に支えられる側と考えるのではなく認知症と共によりよく生きていくことができる環境整備に向け各自治体で活動を展開している。
「我がこと・丸ごと」の「地域共生社会」は,制度・分野ごとの「縦割り」や「支え手」「受け手」という関係を超えて地域住民や地域の多様な主体が「我がこと」として参画し人と人,人と資源が世代や分野を超えて「丸ごと」つながることで,住民一人ひとりの暮らしと生きがい地域を共に創っていく社会とうたわれている。すなわち認知症高齢者等にやさしい地域づくりは,地域共生社会の実現を目指すことでもある。
兵庫県たつの市役所地域包括支援課では「我がこと・丸ごと」の「地域共生社会」の実現を念頭に置いた重層的な体制で横断的に対応する組織へと取り組んでいる。その先陣である「ふくし総合相談窓口」の取り組みを紹介する。
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