巻頭カラー 地域をあるく
葉っぱビジネス〜「役割」と「出番」そして,活躍できる「舞台」づくり
田原 靖子
1
,
本田 秀明
1
1一般社団法人 是真会 長崎リハビリテーション病院 臨床部
pp.154-156
発行日 2016年3月15日
Published Date 2016/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200326
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「後期高齢者」と言われる70歳代後半から80歳代の方々が,パソコンやタブレット端末を操って情報をやりとりし,1年間で2億6,000万円もの売り上げを生み出している「葉っぱビジネス」なるものが,NHKなどのメディアで取り上げられた。注目を集めているのは徳島県の中山間部で高齢化率が約51%の上勝町である。面積のほとんどが森林で,人口1,717人と限界集落に近い状況であるが,この町の医療費は全国平均より約10万円安い。この町の高齢者が,生き生きと生活している理由,それが“葉っぱビジネス”。今回,高齢(障害)者の「地域参加」を超えた,「社会参加」の実態を目の当たりにすることができた。感想を交え,その実態の概要を紹介する。
この“葉っぱビジネス”を立ち上げたのが,株式会社いろどり代表取締役社長 横石知二氏。上勝町は,ミカンづくりが主要産業だったが,昭和56年,大寒波により町中のミカンの木がひと晩で枯れ,稼げる産業がなくなった。その当時,農協職員だった横石氏は,新たな産業(稼げるもの)を町につくらなければならないと,あらゆる作物づくりに挑戦し,ミカンに代わる収入源を増やしていった。その一方で,“高齢者(特に女性)が「役割」と「出番」を持てる”ことが大切だと日頃から考えていた。すなわち何歳になっても「地域社会の役に立っている」と実感できる生きがいの重要性である。そんな中,出張先での食事の際,若い女性客が料理につまものとして添えてある赤いモミジの葉っぱを大事そうにハンカチに包んで持って帰る場面に遭遇,思いついたのが“葉っぱビジネス”であった。
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