特集 生活障害をきたす痛みと対策
骨関節疾患の痛みによる生活障害の対策
木藤 伸宏
1
,
小澤 淳也
1
1広島国際大学総合リハビリテーション学部
pp.30-36
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200291
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はじめに
日本は世界のどの国も経験したことない超高齢社会を迎え,どのようにこの状況を対処するかについては世界中が注目している。日本人の平均寿命は,男性79.55歳,女性86.30歳である1)。しかしながら,健康寿命に注目すると男性70.42歳,女性73.62歳であり,平均寿命と健康寿命の乖離は男性9.13歳,女性12.68歳である。健康寿命を脅かす疾患として筋骨格系疾患とその障害が関与していることが報告された。Vosら2)によると筋骨格疾患と障害は,障害調整生存年数(Disability adjusted life years〔DALYs〕)の上位を占め,能力障害(disability)の原因として2010年は1990年より45%上昇した。つまり,高齢者の健康寿命を延ばすためには,下肢の感覚運動システム(図1)の骨関節疾患の原因となり得る機能障害(impairment)と,骨関節疾患の結果として起こる機能不全および機能低下(dysfunction,deficiency in the function)に対する取り組みが重要となってくる。骨関節疾患の管理に対して整形外科医の役割は重要であるが,われわれPTは感覚運動システムのimpairmentとdysfunctionに対して重要な役割をなす。本稿では,膝関節痛について述べていく。
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