連載 感性の輝き・第19回
「患者こそ師」との出会い
伊藤 大樹
1
1ごきげん整形クリニック
pp.64
発行日 2015年1月15日
Published Date 2015/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200019
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「我以外みな師」という言葉があるが,私には治療専門職として毎日心に「患者こそ師」という言葉がある。それは,私が臨床に出た頃,意気揚々と「リハの専門職」を自負した毎日を送っており,一生懸命やれば必ず患者は良くなると考えていた。
私が1年目にこの考えを根底から覆す一人のPTとの出会いがあった。初めて参加した講習会で講師の言葉にがく然とした覚えがある。「今のPT・OTはリハの専門職を自負しながらリハの意味を知らない」「PT・OTは訓練ではなく治療をしなければならない」。立て続けに「患者にとって効果のある治療技術を身につけなさい,一生懸命にやったからといって,良くなることは決してない」。この言葉は臨床1年目の私には当然理解できない内容と「そんなはずはない!」という言葉が頭を巡り,「学校で学習したことは?」「一生懸命やれば必ず良くなるのでは?」「PTはリハを専門とした職種ではないのか?」と混乱しながら講習会を受講した覚えがある。
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