交見室
師との出会い
安達 洋祐
1
Yosuke ADACHI
1
1久留米大学医学部外科
pp.948
発行日 2011年7月20日
Published Date 2011/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103639
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新しい臨床研修制度がスタートして8年目を迎えました.臨床研修には「基本的な診療能力の修得」と「医師としての人格の涵養」という大きな目標がありますが,研修医にとって臨床研修は「出会いの場」でもあります.臨床研修にはたくさんの到達目標やチェックリストがあり,研修医は知識や技術の習得に明け暮れますが,医師としての第一歩を踏み出す研修医には,面倒見のよい指導医と出会うことが大切です.私は母校(九州大学)の外科に入局し,1年目は大学病院で研修しましたが,2年目は市中病院で研修し,生涯の師となる素晴らしい外科医に出会えました.それが朔 元則先生です.
当時の朔先生は患者を研修医と担当し,研修医を助手にして執刀しながら,機会を見つけては術者をさせてくれました.たとえば,直腸の手術では前もって患者さんから承諾を得て研修医に虫垂切除をさせ,縫合不全や吻合部狭窄を生じにくい回腸結腸吻合では研修医にはじめての手縫い吻合を経験させました.胃の手術では少しずつ段階的に研修医を術者の位置に立たせ,1年経つと早期胃癌の幽門側胃切除術を最初から最後まで執刀できるようにしました.時間がかかっても辛抱づよく見守ってくださる朔先生は,「やって見せ,やらせて教える」ありがたい外科医でした.
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