Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
徒手筋力テスト(Manual Muscle Testing:MMT)の有用性,原理,具体的な施行方法などについては,筆者はこれまでいくつかの総説で解説し8,13),またMMTについての拙著『MMT・針筋電図ガイドブック』でも総論部分で説明している9).その要点をまとめると以下のようになる.
【MMTが有用な理由】
・筋力低下の分布を検討することで,病変の局在診断ができることが多い(ただし,これができるためには,筋の末梢神経支配や筋節についての知識が必須となる).
・疾患によっては,疾患特異性の高い筋力低下分布から直ちに診断を推測できる場合がある.
・筋力と,運動神経伝導検査での複合筋活動電位(compound muscle action potential:CMAP)振幅を対比することによって有用な情報が得られる.
【MMT施行の原理と注意点】
・MMTにおいては「1関節のみを調べる」ことが原則となる.このために,より近位の身体部分を固定(fixation)することが必要となる.
・MMTにおいては,各筋ごとに決まった検査肢位(test position)を被検者に保持してもらい,それに対して検者が抵抗を加えたときに,被検者が肢位を保持できるか,それとも検者の力に負けて動いてしまう(breakされる)かというbreak testで判定する.
・健常者でのvariationは,通常想像されるよりは少ない.健常成人では決してbreakされない検査肢位を見定めて,そこでbreakされれば筋力低下があると判断できる基準が,ほとんどの筋で設定できる.
・MMT 3をすべての筋で無理にグレードづけしなくてよい.その理由は,手関節・足関節以遠ではほとんどの筋で重力の影響を無視できること,そうでない筋でも正確にMMT 3を評価しようとすると頻繁な姿勢変換が必要で実用的でないこと,の2点による.
Copyright © 2024, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.