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特集 脊椎骨粗鬆症性椎体骨折に対する治療戦略—薬物療法を中心にUP TO DATE
厳格な保存治療とは
An Intensive Conservative Treatment for OVF
若尾 典充
1
Norimitsu WAKAO
1
1国立長寿医療研究センター整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, National Center for Geriatrics and Gerontology
キーワード:
厳格な保存治療
,
strict conservative treatment
,
安静
,
bed rest
,
装具
,
orthosis
Keyword:
厳格な保存治療
,
strict conservative treatment
,
安静
,
bed rest
,
装具
,
orthosis
pp.1059-1065
発行日 2020年12月25日
Published Date 2020/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201544
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はじめに
超高齢社会において脊椎骨粗鬆性椎体骨折(osteoporotic vertebral fracture:OVF)は最も頻度の高い骨粗鬆性骨折であり,高齢者医療に関わるすべての医師にとって日常診療でたびたび遭遇する疾病である.初期治療の原則が保存加療であることは広く知られており,概ね8割の骨折で画像上の骨癒合・安定化が得られる.一方,残る2割の症例では早期に骨癒合・安定化が得られず,その一部で疼痛遺残・偽関節化・脊柱後弯変形・遅発性圧潰および麻痺などさまざまな合併症を併発する13).
OVFの予防および治療成績向上のためには,骨折発生を極力低下させる予防策,発生後には合併症を併発させない適切な初期保存治療策,合併症が発生したのちに施行すべき適切な手術治療策という,異なる時相におけるそれぞれの標準的治療指針の策定が急がれる.しかし,これら3つの時相の中で,特に骨折発生初期の保存治療成績を検証したエビデンスはほとんど存在せず,保存加療の標準化は大幅に立ち遅れている.本稿では,この骨折発生初期の時相で,重度な後弯変形・遅発性圧潰/麻痺(osteoporotic delayed vertebral collapse and paralysis:ODVC)などの最重症の有害事象を発生させないための厳格な保存治療について,当院の治療方針と成績を踏まえたうえで概説する.
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