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特集 脊椎脊髄手術の安全性を高める予防と対策
第2章 各論
4.各種疾患,治療法について
透析患者における脊椎・脊髄疾患—問題点とその対策
Spinal Fixation for the Dialysis-associated Spondylosis
久野木 順一
1
,
河村 直洋
2
Junichi KUNOGI
1
,
Naohiro KAWAMURA
2
1日本赤十字社医療センター整形外科センター
2日本赤十字社医療センター脊椎整形外科
1Department of Orthopedic Surgery Center, Japanese Red Cross Medical Center
キーワード:
透析背椎症
,
dialysis-associated spondylosis
,
破壊性脊椎関節症
,
destructive spondylarthropathy
,
脊椎固定術
,
spinal fusion
Keyword:
透析背椎症
,
dialysis-associated spondylosis
,
破壊性脊椎関節症
,
destructive spondylarthropathy
,
脊椎固定術
,
spinal fusion
pp.390-396
発行日 2018年4月25日
Published Date 2018/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200857
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はじめに
日本透析医学会の報告では,2015年末にわが国の透析患者は32万人を超え,毎年増加し続けている.さらに,透析技術や全身管理の進歩により透析歴が長期化し,40年を超える患者も増加しつつある.また,透析患者の高齢化も進んでいる.その結果,透析患者における脊椎・脊髄疾患に対し手術治療が必要となる機会も増えている.当院にて透析脊椎症の手術が開始された30年前に比べ,透析患者における脊椎・脊髄疾患に対する手術治療はより多くの施設でごく普通に行われるようになってきたのが現状であろう.限られた施設における長期にわたる困難な試行錯誤の期間を経て,現在の透析脊椎症に対する手術治療の成績はかなり安定しつつあり,脊椎外科医は透析患者に対し,より大きな貢献をすることが可能となってきた.
しかし,透析歴の長期化,高齢化,糖尿病性腎症の増加に伴い,全身的および局所的合併症の頻度は依然として高い.手術療法についても,特に固定術において骨癒合不全や隣接椎間障害など解決すべき課題も多く残っている.
そこで本稿では,透析脊椎症に対する手術療法の問題点と対策について述べる.
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