Nomade
脊椎脊髄疾患と医療の質の向上—病院機能評価受審準備を通じて
今釜 史郎
1
1名古屋大学整形外科
pp.601-602
発行日 2016年6月25日
Published Date 2016/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200397
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脊椎脊髄領域において,診断や手術を含めた治療は飛躍的に向上し,かつては治療が難しかった疾患に対しても適切な診断や治療を行えることは脊椎脊髄病医冥利に尽きる.一方,患者数の増加とともに専門性も高まり,脊椎脊髄疾患に関わる医師はますます忙しくなっている.その中で,世間では物事の“質”に敏感になってきており,今年も自動車燃費の品質問題や,産地偽装に伴う食品や製品の“質”に関する問題が世間を賑わせている.“医療の質”を問う声も当然高まっており,説明義務違反や医療過誤に対する細心の注意はもちろん,良質な医療提供のために医師が果たすべき責任は,さらに大きくなっているのが現状である.
病院の医療の質向上のために,“病院機能評価”がある.平成9年4月(奇しくも私が研修医1年目に),日本医療機能評価機構が病院機能評価の事業を開始した.病院機能評価は,病院が組織的に医療を提供するための基本的な活動(機能)が,適切に実施されているかどうかを評価する仕組みであり,評価の結果明らかになった課題に対し,病院が改善に取り組むことで,医療の質向上を図るものである.当院の病院機能評価更新にあたり臨床分野の病院リーダーを拝命し,約1年半,審査前の準備を経験したので,脊椎脊髄外科医の視点を交え紹介したいと思う.
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