あなたにとって作業療法とは何ですか?・第115回
あなたにとって作業療法とは何ですか?
磯野 弘司
1
1春日居総合リハビリテーション病院
pp.591
発行日 2024年7月15日
Published Date 2024/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203827
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ともによりそう
2024年(令和6年)1月1日に発生した能登半島地震は,本稿の執筆現在,死者245名,避難者最大4万人超の大惨事となった.私はJRAT(日本災害リハビリテーション支援協会)の一員として1月5日に石川県に支援に入り,以後3月まで4回にわたり後方支援活動に従事させていただいた.あれから半年,今回の活動は,あらためて私にとっての作業療法とは何かを考えるきっかけになった.
私自身に被災体験はなく,被災者の気持ちを完全に理解することはできない.同じように私自身には障害体験もなく,日ごろの作業療法対象者の気持ちを完全に理解することもできない.今も不自由な生活が続く避難者と,それを支える石川の仲間たちを直接支援し続けることは難しく,同じように退院した後も不自由な生活が続く作業療法対象者を,ずっと支援し続けることも難しい.一時のかかわりに,無力感を感じながらも,当事者でなくても,かかわり続けることができなくても,それでも「ともによりそう」気持ちをもち続けて,次に向かい続けることが私にとっての作業療法の意味である.
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