あなたにとって作業療法とは何ですか？

正義の仕事

　わたしの作業療法は17年前から刑務所で行うようになり，現在は少年院や刑務所内，出所後の支援にも取り組んでいます．少年院や刑務所へ入院・入所する者のうち，知的・精神に障害のある者や65歳以上の高齢者の割合は年々高くなっています．司法分野が日本の作業療法の新たな仕事となるよう期待を込めて，「正義の仕事」としました．

　わたしも刑務所へかかわる前までは，「事件が起これば，犯人を逮捕して一件落着」と思っていました．しかし，初犯者数が減少している一方で，再犯率は近年上昇傾向で，わが国の重大な課題となっています．再犯防止には，出所後，社会の中で「居場所」と「出番」をつくることが大切といわれます．作業療法は対象者の「社会参加」を目標に，「再犯防止」はその結果として，さまざまな課題を解決する仕事と考えることもできます．