連載 作業療法の知見を活かして働く人の健康を守る・第1回【新連載】
「働く人の健康を守る」ための基礎知識
金子 隆生
1,2
,
劉 濤
3
Takao Kaneko
1,2
,
Nami Ryu
3
1山形県立こころの医療センター
2山形県立中央病院
3新吉塚病院
pp.606-609
発行日 2023年6月15日
Published Date 2023/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203403
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はじめに
わが国のいわゆる「団塊の世代」が75歳以上になる2025年に向け,国民が健やかに生活し,予防・健康管理に係る取り組みを推進するため,政府によって「国民の健康寿命が延伸する社会」というスローガン1)が掲げられた.そこで,疾病予防としての一次予防,重症化予防としての二次予防に重きを置かれたが,少子高齢化の進行に伴った社会保障費の増加,生活習慣病にかかわる死亡原因が総死亡数の6割となったこと,および生活習慣病の医療費が医科診療費の3割以上を占めている状況等2)から,特に生活習慣病の発症および重症化予防の重要性に焦点が当てられた.さらには,近年の社会情勢の一つとして新型コロナウイルス感染症の蔓延により,人と接する機会が減ったことによる孤独死や孤立の問題が深刻化3)しており,精神的不調を訴える人が増加している.以上のような背景から,私たちの心身両面の健康管理は,これまで以上に必要なものになる.
本連載が,病気や障害を抱えたクライエントを支えるOTであるからこそ知っておいてほしい,最近の働き方のトピックス,両立支援の実践紹介,メンタルヘルス関連の支援や実際の職場での対応等を伝える機会になればと考える.また,クライエントに対する支援のみならず,一労働者として自身の労働環境を振り返る機会になることを願っている.なお,特に本稿に示した各省庁が実施している取り組みや,法案等の詳細については,読者自身が個別に原典等を参照いただきたい.
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