あなたにとって作業療法とは何ですか？

生きることを考える

　私たちの日々は作業への従事で成り立ち，日々の積み重ねである人生もまた作業で成り立っています．作業への従事が損なわれることは，生活や人生が損なわれるということです．OTは，しばしば，病や障害のために，混乱したり絶望したりする人に出会います．私が出会ったこれらの人の混乱や絶望は，普通に行い，これからも苦もなく続けられると思っていた作業，また，新しく始めようと望んでいた作業が「できない」と感じたことから，生まれたものだったように思います．

　OTは，人が従事を望む作業を共に探し，それができるように援助することができます．そのとき，私たちがすべきことは，その場で求められる知識や技術を活用するだけでなく，その人がこれまでに行ってきた作業やこれから行おうとしている作業，そして，どんな作業を失い悲しんでいるか，どんな作業に喜びを感じるのかを知り，理解しようとすること，すなわち，「生きることを考える」ことだと思います．