視点 特別寄稿
新型コロナウイルス感染症とリハビリテーション
北村 義浩
1
1日本医科大学
pp.1006-1011
発行日 2020年8月15日
Published Date 2020/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202224
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はじめに
2019年12月,中国湖北省武漢市で「原因不明」の呼吸器感染症が流行しはじめた.2020年1月10日,中国政府は新型コロナウイルスが原因であるとし,その遺伝子配列を公開した.遺伝子配列の解析から,このウイルスは,2013年にキクガシラコウモリから見つかっていたウイルスに近く(類似性が約96%),重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)にも類似性(約80%)が高かったので,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)と命名1)された(日本では感染症法上「新型コロナウイルス」と称される).その後,マレーセンザンコウから発見されたコロナウイルスと極めて類似性が高い(類似性約98%)ことがわかり,コウモリ→センザンコウ→ヒトの順にウイルスが伝播したのではないかという仮説が登場した2,3).SARS-CoV-2感染症は,国際的には2019年発生コロナウイルス感染症(Coronavirus Disease 2019)を略してCOVID-19と呼ばれ,日本では感染症法で「新型コロナウイルス感染症」と呼ばれ指定感染症に指定されている.武漢市での流行発生からおよそ2カ月後の2月18日には,COVID-19は世界で7万5,000人(27の国・地域)が感染する事態になった.3月11日に世界保健機関(WHO)はパンデミック宣言した.そして,全世界(214の国・地域)で約600万人の感染者,約37万人の死亡者が報告されている(2020年5月末).
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