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第16回神奈川県作業療法学会が2017年(平成29年)7月2日(日)に神奈川県立保健福祉大学にて開催されました.大会長の玉垣 努氏(神奈川県立保健福祉大学)が設定した学会テーマは「選択する未来」です.1965年(昭和40年)に理学療法士法及び作業療法士法が制定されて約50年が経過し,その時代時代に,「作業療法のアイデンティティ」や「作業療法の核」が問われてきました.近年の作業療法を概観すると,作業療法の有効性や特徴を,他のリハ職種と協議したうえで,いかに実行できるかが課題に挙がります.将来の目標を医療領域や福祉領域で「価値ある作業療法の提供」とするならば,OTだけの自己満足ではなく,リハ関係の他の職種に加えて,一般市民や厚生労働省に認められることが重要な課題と考え,先の学会テーマに決定されたそうです.
今回は一般演題がすべて自由討議形式のポスター発表であり,これは本学会初の試みでした.私は生活行為向上マネジメントを活用した事例発表をしました.近年,生活行為向上マネジメントは日本作業療法士協会主導で普及・推進されています.生活行為向上マネジメントは,対象者を生活する人ととらえてその活動・参加を促進し,生活を再構築していく視点で「作業療法を見える化」するツールとして,多くの現場で活用されています.かかわった対象者やOTだけでなく,対象者を取り巻く家族や友人,他の職種と協議し,対象者の生活から失われた「したい」と思える意味のある生活行為を「できる」ようにすることで,いきいきとした地域生活を継続することが「価値ある作業療法の提供」であると事例発表を通じて実感しました.このような包括的な支援をOTが地域で行えることを,厚生労働省をはじめ,他職種団体に認知されることで,作業療法の「選択する未来」が広がるのではないかと思いました.
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