増刊号 実践に役立つ! 生活行為向上マネジメント
第2章 疾患別実践例
7 —パーキンソン病例—「再び山へ登りたい」思いを共有し社会参加に至った事例
坂東 仁志
1
Hitoshi Bando
1
1徳島医療福祉専門学校
pp.836-840
発行日 2016年7月20日
Published Date 2016/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200658
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はじめに:事例紹介
A氏.70代,女性.パーキンソン病.要支援1.障害高齢者の日常生活自立度J1,認知症高齢者の日常生活自立度は自立である.既往歴は変形性脊椎症,腰椎すべり症.家族構成は息子夫婦,孫と同居している.家屋環境は2階建ての一軒家である.日中は家族が仕事へ出ているため,1人で過ごしている.生活歴は市内の旅館に30年間勤務し,退職後は老人会や登山会等に参加しており,年に1回はD山に登っていた.俳句,編み物,絵を描くこと等,多趣味であり,友人と自宅近隣のE山に登ることを15年間日課としていた.
X−3年より腰と膝に疼痛がみられ徐々に歩行が困難となり,X−2年から転倒がみられはじめる.X−1年の夏に体調を崩して受診し,パーキンソン病との診断を受ける.X年からは思うように歩行ができず,再々転倒するようになり,「このままでは寝たきりになるのでは」との思いから介護保険を申請し,週1回のデイケアへと通っている.しかし,以降もデイケア以外の外出の機会が減少し,自宅に引きこもりがちになっていたため,市より委託を受けて徳島県作業療法士会が運営している介護予防事業を担当ケアマネジャーが紹介し,利用を開始することとなった.
初回評価では右握力は23.1kg,開眼片足立ち時間は4.5秒,5m通常歩行時間は5.2秒,5m最大歩行時間は3.5秒,TUGは12.0秒であった.認知機能はHDS-R 30点,ADLはBI 100点,IADLは改訂版FAI 28点,老研式活動能力指数12点であった.
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