発行日 2014年10月15日
Published Date 2014/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200030
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習慣は,私たちの感覚を鈍らせ,物事の真実の姿を覆い隠すものだ,と述べたのはモンテーニュ(1533-1592)である.脳卒中は,OTが最も遭遇する機会の多い疾患の一つであることはいうまでもない.しかし,それゆえ,OT個人のレベルでいえば,作業療法の習慣化やマンネリ化が起こりやすい疾患であるともいえないだろうか.研修会に頻繁に参加して,常に新しい知見を取り入れていると自負する人もいるだろう.しかしながら,それがある一定の手技やアプローチの枠を超えていないのなら,大きな視点でみるとそれもマンネリ化である.
そのようなマンネリ化から脱却するにはどうしたらいいだろうか.モンテーニュは,それにはまず判断を中止(エポケー)して,すべてを疑問形にしたまま考え続けることが必要だとしている.つまり,それぞれがよかれと思っている実践を一度棚上げにして,容易に判断を下さず,脳卒中の作業療法を吟味してみればいいのである.しかし,脳卒中の作業療法を吟味すると一口にいっても,その領域は多岐に渡り,治療原理もリーズニングもさまざまである.それを全部みて回るわけにもいかない.
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