特集 OTの臨床実践に役立つ理論と技術―概念から各種応用まで
第7章:さまざまな疾患に適用となるもの
4.園芸療法
剱持 卓也
1
1社会医療法人居仁会 総合心療センターひなが
pp.821-826
発行日 2013年6月20日
Published Date 2013/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100201
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園芸療法とは
園芸療法(horticultural therapy)とは,「植物を育てることを中心に,植物や植物が育つ環境,植物に関連する諸活動を通して,身体や精神機能の維持・回復,生活の質の向上をはかる」1)ものであり,補完代替医療(complementary and alternative medicine:CAM)の一つと位置づけられる.園芸という言葉からは,植物を育て楽しむというプロセスがイメージされるが,臨床で植物の効果を療法として用いる際には,育てる行為だけでなく,咲いた花をアレンジして楽しんだり,収穫した野菜を食したり,共に庭を散歩したり等,植物に関連するさまざまな関わりまでをも広く含めて「園芸療法」と呼んでいる.
園芸療法は,命のある生きものを活動の媒介とすることが,他の療法と比べて最も特異な点であり,得られる効果や関わりの場面においてもその特性が活かされる.生きものを媒介とするものは他に動物介在療法や乗馬療法等があり,生物療法(biotherapy)としてまとめられるが,植物はそれ自身では動かないため,動物と比べて人に対する侵襲性が低いこと,独立栄養を営むため人の手をかけなくとも生命を維持できること,人が命をつなぐ基盤として存在しており,人間の生活や文化に深く根ざしていること等が特徴として挙げられる.
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