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編集後記
徳村 弘実
pp.674
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426900807
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先日,仙台で日本胆道学会があり,上海の大学病院から留学で来日しているJ先生を伴い参加した.ご存じ慶應義塾大学古川俊治先生の医療事故と胆道疾患についての特別講演があり拝聴した.弁護士であり消化器外科医の先生の話は,すでに4回目.一医師の講演にそう何度もお付き合いすることは多忙な外科医には通常なかろう.講演はERCPや胆管損傷にまつわる事故,身につまされる事例,その法的解釈・判断についていつもながら刺激的な内容で,明快なお話であった.日頃講演をほとんど聞くことのない若手医師なども真剣である.その際,会場からの2つの質問が気になった.1つは「説明責任の今後について」というものであったが,「説明責任は重くなることはあっても軽くなることはない」,そして「術前説明時については執刀医の特定と手術経験を知らせる必要はない」という先生の回答であった.日常診療でインフォームド・コンセントに苦慮したり,術前の説明が長時間に及ぶことがあることは,読者諸先生方も状況は一緒であろう.思い出されるのは,10年ほど前,関西のある大学病院の外科医から「胃癌手術でも1.5時間は説明する」と聞き,大変だなと思ったことがあった.患者の権利意識も西高東低かと.ところが,東北でも説明が長時間に及ぶようになるのに,それほど日時はかからなかった.しかしながら,説明するのはよい,いくらでも我々も説明したい.でも時間がない.勢い時間外,休日の説明となる.そして2時間話しても診療報酬には関係ない.
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