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編集後記
徳村 弘実
pp.382-383
発行日 2009年6月15日
Published Date 2009/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426100356
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最近,本誌への投稿は増加傾向にあり,査読に追われることが少なくない.うれしい悲鳴かもしれない.しかし,投稿者の立場,つまり外科医の日常診療を鑑みれば,論文を書く十分な余裕があるとは思えない.その合間を縫っての執筆は精も根も使うはずである.そのような状況が目に浮かぶため,掲載に至らないリジェクトペーパーが少なからずあることは編集委員としては心が痛む.論文の体裁が整っていないものから,症例数が足りなかったり,症例報告,私の工夫,などでは新奇性や独創性に乏しかったり,あるいは考察での論理的展開が全くなされていないものまで,リジェクトの理由は様々である.本誌はどちらかといえば臨床研究主体の学術誌であるので,臨床的価値の優劣を問うことは本来簡単ではなく採否に迷うことも多々ある.否は残念ではあるが,症例や実験的検討を多少追加したり,考察方法を今一歩修正すれば掲載に値するものばかりで,再投稿を期待してやまない気持ちをどうか含み置きいただきたい.
釈迦に説法かもしれないが,現代の科学論文形式は,パスツール以降一般化したのだそうな.その形式のポイントは,実験を完全に再現できるように詳細な実験の方法を書き込むことである.そうすることにより,他者が同じ実験を行えば同じ結果を再現することになり,議論の余地がなくなる.しかし “医学論文にはそのような研究デザインと結論を導くための統計がなってない” とはよく耳にする批判である.
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