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編集後記
出月 康夫
pp.82
発行日 2003年2月15日
Published Date 2003/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426900386
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わが国に内視鏡下手術が導入されてから12年が経過した.干支を一巡し,今年からは2周目に入る.あまりにも革命的な手術であったために,最初は異端視され,偏見をもってみられることの多かったこの手術も,ようやくわが国の外科のなかに定着し,正当に評価されるようになりつつある.この手術は手術手技上の革命であったばかりでなく,手術のコンセプトに大きな変化をもたらした.Minimally invasiveであるかどうかは別にして,「人に優しい手術」という,今では外科医の誰もが使う言葉もこの手術が出現する以前にはなかったし,本号で特集されている“Robotic surgery”や“Telesurgery”が現実のものとなりつつあるのも,内視鏡下手術が可能となったからである.
10余年という,長い外科手術の歴史からみればとるに足らない短い期間に,ハーモニック・スカルペルやリガ・シュアをはじめ,多数の手術機器や器械がこの手術のために開発され,これらを駆使して,これまで困難と考えられてきた進行癌に対する複雑な手術も可能となりつつあり,この手術の適応はさらに拡がるものと予測される.「必要は発明の母」と言うが,この手術をさらに応用しようという意欲がある限り,さらに優れた機器や技術革新が生まれることは確実である.
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