特集 透析診療のすべて
Part 2 透析管理の基本と原則
【コラム⑤】透析患者の痒み②透析医の視点—透析方法も含めた複数のアプローチ方法を理解しよう
佐藤 英一
1
Eiichi SATO
1
1新松戸中央総合病院 腎臓高血圧内科
pp.406-410
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901144
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透析患者にはさまざまな皮膚症状がみられるが,瘙痒は患者のQOLを損なう症状であり,早期発見と治療が必要である1)。重症の痒みは生命予後に影響を与える因子であることが明らかにされており2),痒みの治療については,薬物療法のみならず予防や生活指導など多岐にわたる管理が必要である3)。
一方,慢性腎臓病(CKD)で生じるミネラル代謝異常について,CKD-MBD*1(慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常)という新しい概念が提唱されている4)。CKD-MBDは皮膚瘙痒とも関係が深く,血清Ca,P,副甲状腺ホルモン(PTH)濃度と皮膚瘙痒との関連性について古くから議論されている5)。
こうした背景のある血液透析患者では,血液と透析機器(血液回路ダイアライザなど)との接触により,ヒスタミンなどのメディエータが遊離する機序が加わることによる瘙痒も生じ得る4)。さらに,透析機器だけでなく,使用材料や滅菌物質,併用薬剤に対するアレルギーにも留意する必要がある6)。
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