特集 抗血小板薬,抗凝固薬のすべて
12.抗血小板薬,抗凝固薬投与中の消化管出血予防—リスクを理解しエビデンスをふまえ,適切にプロトンポンプ阻害薬の併用を行う
吉岡 翼
1
,
山田 徹
2
Tsubasa YOSHIOKA
1
,
Toru YAMADA
2
1東京ベイ・浦安市川医療センター 消化器内科
2東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 総合診療医学分野
pp.613-622
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900708
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近年,世界的に抗血小板薬,抗凝固薬の処方・使用頻度は増加している1)。背景には,高齢化に伴う冠動脈疾患や心房細動の有病率の増加,一次予防・二次予防としての抗血小板薬,抗凝固薬の処方の増加,直接経口抗凝固薬(DOAC*1)などの新規薬剤の普及がある2,3)。これに伴い,出血性イベントや消化管出血リスクの増加が問題となっている4)。
アスピリン使用時の胃・十二指腸潰瘍予防などに関しては知見も多く,ある程度推奨も定まっているが,DOAC使用時の小腸出血のマネジメントなど,エビデンスが固まっていない領域もある。日常臨床においても,消化器内科・循環器内科の双方で,抗血栓薬使用時の消化管合併症に悩まされることが多いのではないだろうか。
本稿では,抗血栓薬使用時の消化管出血予防と対策に関して,各種ガイドラインでの推奨を概観しつつ,実際の臨床現場での対応策を考えていきたい。
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