特集 心不全
Part 2:ERで出会う心不全
2.心不全の診断,治療における心エコー図の役割—基本的な評価項目と描出のポイントを押さえる
松添 弘樹
1
Hiroki MATSUZOE
1
1淀川キリスト教病院 循環器内科
pp.811-827
発行日 2018年12月1日
Published Date 2018/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900607
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心不全の診断,治療,治療後のフォローにおいて心エコー図は,安価かつ低侵襲という観点から,臨床現場において強力なツールである。胸部X線やバイオマーカーで「心不全状態」と診断できたとしても,どの程度“acute”なのか,何が「原因」で心不全を起こしているのかまでの診断は困難である。2013年のACC*1/AHA*2の心不全ガイドライン1)でも,心エコー図の重要性が示唆されているものの,さまざまな評価項目や,撮像手技のわずらわしさから非専門医はもちろん,循環器専門医でも時として敬遠しがちである*3。
時に心不全は非常に難解な病態を呈することがあるが,心エコー図はそれらを紐解くきっかけ,また身体診察で得られた所見を簡便に裏づけることができる非侵襲的手段である。そのため,循環器専門医だけでなく非専門医の先生にもある程度使いこなせる,あるいはそこまでいかずとも循環器専門医の使用するテクニカルタームが理解できることを目的に,心不全の診断や治療のモニタリングで必要となるだろう総論的な部分にフォーカスし,心エコー図と心不全の基本的な知識や関係性についてまとめたい。
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