特集 腎疾患2
【慢性腎臓病(CKD)】
5.CKDの最近のトピックス—降圧目標,糖尿病性腎症(DKD),運動療法に関して
原田 幸児
1
Koji HARADA
1
1西奈良中央病院 腎臓・糖尿病内科
pp.151-159
発行日 2018年3月1日
Published Date 2018/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900516
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
慢性腎臓病chronic kidney disease(CKD)は,高血圧症や糖尿病などの生活習慣病が背景因子となって発症することが多く,末期腎不全end-stage renal disease(ESRD)や心血管疾患cardiovascular disease(CVD)の重大なリスク因子であるため,進行の抑制が重要である。また,CKDは日本人成人の8人に1人が罹患しているとされており,最近では国民病と認識されている。
CKDは高血圧を合併し,降圧療法が必要になることが多い。現在,日本腎臓学会と日本高血圧学会からCKD合併高血圧に対する降圧療法のガイドラインが作成され,定期的な改訂も行われている。しかし,新たな臨床試験の結果が次々と発表されていることから,降圧の管理目標や指標に関する情報量が膨大となっており,臨床現場で混乱することがしばしばある。
本稿ではまず,最初にCKD患者に対する降圧療法の最近の知見を紹介し,治療の現状について解説する。次に,現在,透析導入の原疾患として最も多い糖尿病性腎症diabetic kidney disease(DKD)に関する最近の話題を紹介する。
また最近,サルコペニア,フレイル,ロコモティブシンドロームなどを起因とした運動機能障害から要介護となる高齢者が増加している。それに伴って,施設,人員,費用などの社会資源が不足し,社会問題となっている。高齢患者が多く,タンパク制限などのため栄養状態が悪化することが多いCKDでは,運動機能障害は非常に重要な問題である。CKD患者に対する運動療法の最近の話題も紹介する。
Copyright © 2018, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.