特集 循環器疾患1
【コラム】急性心筋梗塞の心電図診断—その可能性と限界を理解し,いかにdoor-to-balloon timeを短縮させるか
石田 岳史
1
Takeshi ISHIDA
1
1さいたま市民医療センター 内科
pp.574-581
発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900213
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心電図はWillem Einthoven(1860〜1927)により発明され,100年以上経過した。1992年にBrugada症候群1)が報告されたり,2010年にAntzelevitchら2)がJ wave syndromeという概念を提唱したりと,今もなお新たな報告がなされる検査法である。とりわけ急性心筋梗塞の診断では最も簡便かつ基本的な検査である。縦軸が電位,横軸が時間というシンプルな記録であり,検者間・検者内再現性は極めて高い。心電図判読のコツをつかめば,かなり深く病態に迫れる一方,過信は非常に危険である。正常心電図を呈する急性心筋梗塞もまれではなく,正しく診断するためには心電図の経時的変化を理解し,心エコーや心筋マーカーをはじめとするほかの検査法を適切に利用する必要がある。
本稿では心電図診断の可能性と限界についてまとめる。また,電子カルテが導入されている医療機関では,心電図をmedical waveform format encoding rules(MFER)という医用波形に特化したフォーマットで管理していることが多い。それを駆使した診断法についても言及する。
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