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第7回:Results/Discussionを読む!─各研究デザイン/アウトカムごとの結果の読み方,および考察の構成
安田 英人
1,2
1鉄蕉会亀田総合病院 集中治療科
2慶應義塾大学大学院医学研究科 博士課程医療科学系 臨床研究学
pp.214-224
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200492
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“論文を批判的に読む際の最も重要な要素は,研究デザインをしっかりと評価すること”であり,得られた結果の妥当性はその研究デザインの良し悪しに大きな影響を受ける。
洗練されていない研究デザインから得られた結果は多くのバイアスを含み,内的妥当性は低く,外的妥当性も損なわれる。
極論すれば,研究デザインに不備が多い論文は結果自体を評価するに値しない。
しかし,多少のバイアスが認められたとしても,得られた結果が大きい場合には,研究デザインの不備の影響を受けない可能性もある。それだけに,どのような場合でも結果のしっかりとした評価の仕方を身につけておく必要がある。
報告された結果を正しく評価するためには,研究テーマ周辺の知識を身につけておくことは当然として内的妥当性や外的妥当性の有無を評価する視点は重要である。
結果を評価する際のポイントは,内的妥当性の観点から
①その結果は偶然得られたものではないか
②サンプル数は問題ないか
③研究デザインに問題はないか(バイアスが含まれていないか)
④交絡因子が調整された結果なのか
外的妥当性の観点から
⑤どのような患者群に当てはめることができるか
を評価することである。
考察は,結果を踏まえて著者がその解釈,有用性,限界点などを述べるいわば“言い訳”の場であり,その構成はどのような研究デザインの論文でもほぼ共通である。
研究デザインや結果に対してしっかりとした批判的吟味ができていれば,考察は参考程度に読むことが多い。
連載最後の今回は,研究結果に対する内的妥当性や外的妥当性を踏まえた批判的吟味の方法と考察を読む際の心構えを解説する。
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