特集 中毒
Part 3 中毒の集中治療
6.農薬中毒—有機リン,グルホシネート,グリホサート
井ノ上 幸典
1
,
廣瀬 保夫
1
Yukinori INOUE
1
,
Yasuo HIROSE
1
1新潟市民病院 救急科
pp.709-717
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200431
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農薬には非常に多くの種類があり,世界中で広く使用されている。殺虫剤,非選択的除草剤*1は人体に対しても有害であり,入手が容易であることから,特に発展途上国や農村部で自殺企図による重篤な急性中毒が多発している。本稿では,頻度が高く特徴的な症状を呈する農薬中毒として,特に有機リン系殺虫剤中毒について,そしてグルホシネート含有除草剤中毒とグリホサート含有除草剤中毒について取り上げる。
Summary
●有機リン系殺虫剤中毒は,急性コリン作動性症状(気道分泌物増加,気管支攣縮,呼吸抑制など)から致死的となり得る。
●有機リン系殺虫剤中毒は,急性期を脱してから中間症候群,遅発性神経障害をきたすことがある。
●有機リン系殺虫剤中毒の解毒・拮抗薬として,パムは有効とも無効ともエビデンスに欠ける。
●グルホシネート含有除草剤中毒は,初期症状が軽微でも,遅発性に意識レベル低下や呼吸抑制をきたす可能性がある。
●グリホサート含有除草剤中毒では,界面活性剤による腐食作用や血管透過性亢進による症状,カリウム塩による高カリウム血症に注意を要する。
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