特集 内分泌・代謝・電解質
11.粘液水腫性クリーゼ—早期の診断・治療で予後を改善する
神宮司 成弘
1
Naruhiro JINGUUSHI
1
1藤田保健衛生大学 救急総合内科
pp.589-596
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200194
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甲状腺粘液水腫性クリーゼは現在でも致死率の高い疾患であるが,確立した診断基準や治療方針がなく,診療が困難なものとなっている。また,疾患の特性からか,大規模な臨床研究はなく,限られたデータを参考にして,診断・治療を中心に述べていく。
Summary
●甲状腺粘液水腫性クリーゼは甲状腺機能低下+意識障害+全身症状を呈する致死的疾患である。
●発症時は誘発因子の存在があり,併発疾患や発症前の薬物使用などが診断の手がかりになる。
●診断基準は確立していないが,甲状腺機能低下症を示唆する身体所見や日本甲状腺学会の粘液水腫性昏睡診断基準第3次案,スコアリングシステムなどを活用する。
●治療はICUでの人工呼吸を含めた全身管理が基本で,甲状腺ホルモンの補充以外にも副腎皮質ホルモンの補充や体液管理,電解質管理が求められる。
●甲状腺ホルモンの投与法は確立していないが,レボチロキシンナトリウム(LT4製剤)とリオチロニンナトリウム(LT3製剤)の併用療法が推奨される。
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