連載 ICUフェローからのメッセージ
第14回:タイで学ぶ熱帯医学:マヒドン大学ディプロマコースに参加して
石岡 春彦
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター 集中治療部
pp.154-157
発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100399
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私は2005年に医学部を卒業し,都立病院などでの初期研修および内科研修を経たのち,自治医科大学附属さいたま医療センターで集中治療医学のフェローシップを経験した。また,自治医大附属病院や東京大学医学部附属病院において感染症内科学の短期研修を行った。今後,より深く感染症を学んでいくための一環として熱帯医学を勉強したいと考え,2011年4月から6か月間,タイのマヒドン大学熱帯医学部が主催するDiploma in Tropical Medicine and Hygiene(DTMH)の取得コースに参加した。
日本では馴染みが薄いかもしれないが,ディプロマとは特定の課程を修了したあとに大学などから発行される一種の証明書のようなもので,修士や博士のような学位(ディグリー)ほどの権威はない。例えばUpToDateでも,執筆者の氏名およびMDの表記の後ろにDTMHと記載されている場合,このディプロマの所持を意味している。
このコースに参加して,熱帯地域特有の多くの疾患をベッドサイドで学ぶことができた。また,タイの医療やそれにまつわる諸事情に多少なりとも触れることができた。医学的な側面のみならず,タイで家族とともに生活すること自体が日々勉強であり,常識を覆されることの連続であった。ここでは,コースの簡単な紹介と,タイの医療その他について見聞したことを紹介する。
なお,以前米国ユタ州のLDSホスピタルICUの実習体験記(Intensivist誌 vol.2 no.2)をこのコーナーに掲載させていただいたが,今回は集中治療とあまり関連のない話になることをお断りしておく。
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